今までの渋谷スクランブルスクエアの春秋のファッションはタレントが出て、コンセプトコピーがあるのがメインだった。プロモーションはクリエイティブ中心。それはそれでよかったと言えるのだが、2025年は「もっと売り場よりにしてほしい」とオーダーがあった。春のファッションについては初のコンペといえる中、われわれはチャレンジャーとしてノンタレントの「ぶっとんだ」企画と、売り場によった「ちょうどいい」距離感で勝負することになった。
これまでファッションだけは他店指名の扱いだったが、電通東日本チームのクリスマスなど過去の案件実績も評価され、今回初めて競合案件。「2025年はもっと売り場寄りにしてほしい」というクライアントからのオーダーに、電通東日本らしく応えるために、「ぶっとんだ」企画と売り場に寄った「ちょうどいい」距離感で勝負することになった。
SHIBUYA SCRAMBLE COLLECTION SPRING/AUTUMN
東京、渋谷。ファッションの最先端の一角ともいえる、渋谷スクランブルスクエアで2025年の春/秋のファッションを象徴する企画として、この広告が採用された。企画としてはシンプルな建付けであるが、シンプルだからこそ、奥深いものがある。

「ぶっとんだ」距離感と「ちょうどいい」距離感。


クリエイティブの「ぶっとんだ」距離感
春のファッションに関してはまず社内でクライアントのオーダーに答える、そして上回る企画を提案すべく、BP、クリエイティブ、ストラテジックプランナーが終結しMTGはスタート。タレントを使うかどうか、から始まった。しかし早々にタレントを使うことはなしになった。まず予算配分の件。プロモーションは大きくはないが、そこそこ予算をかけなければ、それなりのものはできない。それにクリエイティブチームから、「我々が想う渋谷スクランブルスクエアのクリエイティブはタレントの名前で売れるものではない」と言われ、ファッションの広告なのに、それを体現するのはぬいぐるみ、という発想の転換でクリエイティブを仕上げてくれた。この発想の転換は秋にもつながるものだった。



プロモーションの「ちょうどいい」距離感
逆にプロモーションは買い手(=消費者)にとって「ちょうどいい」距離感でなければならない。お客様にファッション=買うもの、でもその中で「憧れ」がなければならない。そこで頭をよぎったのは「ファッションショー」。売り場に人が来るようにしたいのならば、こちらから見せられる「場」があればいい、という発想で洋服を着た人達でショーを行うファッションショーになった。ショー自体は1日だけのイベントになってしまうけれど、ショーで使った洋服をマネキンに着せて売り場に飾ればプロモーション期間中ずっとPRができるのでは?そんなアイデアから始まった。
ファッションにそこまで感度が高くない人でも興味をもってもらえる、多様な層から渋谷スクランブルスクエアのファッションに興味を持ってもらう、そのためにファッションモデル以外の、DJやダンサー、お笑い芸人などを積極的に起用してたとえファッションに興味があまりない層にも楽しんでもらえる内容を目指してプランニングした。
ちょっといつも違うショーを観れる、そんな「ちょうどいい」距離感だった。

普通であって、普通でないプロモーションを。
この春と秋のプロモーションはクリエイティブとプロモーションが両極端であった。それがいい感じにつり合いをとって一つの企画として成り立った。その結果生まれたのが、「SHIBUYA SCRAMBLE COLLECTION」従来のようにタレントを使って、「その季節のファッションのお手本」を謳うような展開でなく、渋谷らしく「一人ひとりが自由にファッションと出会い、それぞれの個性で楽しむこと」にぶっとんだクリエイティブで惹きつけ、ファッションショーというプロモーションをきっかけに、意外なアイテムやコーデと出会う楽しさまで、売り場で提供する企画だ。
作成したクリエイティブは渋谷スクランブルスクエアで約1か月間、広告として掲出され、また、そこから派生させInstagramなどでもさまざまなビジュアルで展開。ファッションショーというプロモーションは1日だけだったが、渋谷スクランブルスクエアでかつてないほどの集客を行うことが出来、またその内容がマネキンとしてプロモーション期間中に出ていった。企画自体はシンプルであるが、その内容は絶妙にかみ合ったものだったといえよう。

