「1本当り」が出たら、もう1本。1981年の発売当初から続く、ガリガリ君のアイデンティティとも言えるキャンペーンだ。かじったあとの「当たるかな…」というドキドキ感は、子どもたちをはじめ、多くの人を魅了してきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、食べたあとの当たり棒を直接お店に持って行って交換することについて、議論が起こる。ホームページで当たり棒交換のルールを整理、発信するなど、会社としてガリガリ君の当たり棒を存続させるために何ができるかを模索したものの、衛生面の懸念やお客さまからのご指摘などもあり、2022年春頃には当たり棒を廃止する方向で進んでいた。
当たりつき やめるのを やめました。
2023年の春に公開され、TVのニュース番組をはじめさまざまなメディアで取り上げられたガリガリ君の広告。メーカーとしてのアイデンティティと、コロナ禍という社会情勢。その狭間で揺れ動く企業の想いが綴られたこの広告は、いかにして生まれたのか?
Summary
- 企画期間
- 構想から提案まで約6か月間
- 実施期間
- 2023年4月25日~6月9日(広告展開期間)
- チーミング
- 電通東日本のビジネスプロデューサー×電通 第6CRプランニング局Creative KANSAI
- 出稿メディア
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新聞広告 4月25日(全30段) TVCM 4月30日(60秒CM) OOH看板 4月28日~5月7日 渋谷/新宿/大阪 OOH交通 5月1日~30日 東日本エリア電車内 ドアステッカー
5月10日~6月9日 関西エリア地下鉄車内 ドアステッカーラジオCM 5月2・3・5日 120秒CM
ガリガリ君に訪れた、
アイデンティティの危機。
やめるの、やめませんか?
しかし、ガリガリ君の当たりつきは、赤城乳業の企業スローガン「あそびましょ。」を体現する取り組みのひとつ。お客さまにとって、商品にとって、本当にやめることが最善なのだろうか? むしろ、withコロナにおいても愛され続ける仕組みに変える方法もあるのではないか? そんな想いから、担当ビジネスプロデューサーをはじめるとする赤城乳業チームは「やめるの、やめませんか?」と自主提案。それを受け、赤城乳業も社内で改めて徹底的に議論。結果、「やめるのをやめる」という結論に至った。
問題は、
どう受け入れてもらうか?
食べた後にスティックをよく洗う。よく乾かした後、ラップフィルム等に包めば安全性を確保できるはず。問題は、どう実現するか。当たりスティックの交換の仕組みは、お店の方々やお客さまのご協力のもと成立している珍しい仕組み。継続するためには、自分たちの想いへの賛同と、協力をいただく必要があった。
葛藤を、そのまま広告に。
多くの方々に、正確に情報を伝える必要があること。お店のみなさまとお客さま、双方に負担を強いるお願いになること。この2点から、メッセージは新聞広告をハブとして、TVCM、OOH、ラジオ広告を展開。コピーはコロナ禍における当たりつきへの葛藤や想いを素直に綴るとともに、新しいスティックの交換方法を提示。結果、さまざまなメディアで広告が肯定的に取り上げられ、ニュース記事は2万いいね!を獲得。新聞を起点に、多くの方に赤城乳業の想いに共感してもらえる施策となった。
※事例紹介として記事を作成しているため、クライアント名の敬称を省略させていただいております。