きっかけは周年広告の企画・制作のオーダー。DAM誕生から30年となる2024年のタイミングに、記念となる新聞広告を出稿したいという依頼だった。そこで第一興商および電通東日本・企画チームが着目したのは、DAM30年間楽曲ランキングだった。これは商品の歴史を物語る強いファクトになると考えた。
DAM1,000銘柄
2024年3月、日経新聞の朝刊に掲載された、業務用通信カラオケ「DAM」シリーズの15段広告。一見すると、株式銘柄が並ぶ証券面だが、よく見れば記載されているのは、楽曲名とアーティスト名の数々。その実態は、DAMが誕生してから30年間のカラオケランキングとなっている。掲載日はSNSを中心に話題となり、多くの読者やネットユーザーがこの情報をシェア・拡散する結果となった。
Summary
- 企画期間
- 企画開始から提案まで3週間
- 実施企画
- 2024年3月14日
- チーミング
- 東京本社営業チーム×クリエーティブ×新聞雑誌部
- 出稿メディア
- 日本経済新聞 朝刊 15段広告
DAM30年間楽曲ランキング
証券面をギミックに。
求めたのは、企画性。ただ順位を並べるだけでは、インパクトが足りない。チーム内で頭を悩ませていた中、ふと目に入ってきたのが、日経新聞の証券面。おびただしい数の株式銘柄が並ぶ様は、独特の異彩を放っていた。そして、ぽつんと佇む小枠広告の奥ゆかしさ。これが着想の瞬間となり、証券面をオマージュする企画につながった。
ベスト1000。
証券面を表現するには、膨大なデータが必要になる。第一興商に問い合わせたところ、何位まででも出せるという頼もしいレスポンス。そこで、きっちり1000位までを記載することに決定。「DAMの銘柄です」と添えた小枠スペースで、レイアウト全体を調整した。以降は、人海戦術による文字校正作業。クライアント、営業、クリエーティブ、制作会社、全関係者による確認を経て、無事ミスなく完成に至った。
広告ではなく、コンテンツに。
掲載日の朝、Xはこの広告のポストで溢れていた。証券面というギミックへの反応も多く見られたが、それ以上にカラオケファンや音楽好きな方々が、ノスタルジックな余韻に浸る投稿をしていたり、各々の推し曲やアーティストの順位をシェアしあったりしていた。それは広告というよりも、生活者がランキングというコンテンツを楽しんでいる様相だった。この施策は、新聞単体での30周年広報ではあったが、新聞広告という枠を飛び越え、SNSで多くの人々が「カラオケ」という情報を楽しむ、ある種のブランド体験の提供につながった。
※事例紹介として記事を作成しているため、クライアント名の敬称を省略させていただいております。